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飽食以前
イモと雑穀の民俗

飽食以前 イモと雑穀の民俗

著者 野本寛一
発売日 2023年12月22日
ISBN 978-4-86498-105-7
体裁 A5判・上製・648ページ・図版多数
定価 本体8,500円+税

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内容

60年余にわたり日本各地を歩いた民俗学者のフィールドワークから見えてくる、この国の人びとの食の風景。
先人たちの体験や伝承から見えてくる、本当の豊かさとは?
高度経済成長期以前の日本――環境に応じて食い継ぐための厖大な労力、知恵とくふうの数々。
気候変動の脅威や食品ロスの時代に見つめ直す、持続可能な自然と人の関係。

目次(抜粋)

序章
米麦以外−常食されたイモと雑穀に寄せて

第I章 イモ
一 里芋(さといも)
(一)静岡県中・西部山地の里芋−食制との関連から−
1. 体験と伝承
2. 語りからの受信(高度経済成長期前夜の食制/里芋の食べ継ぎ−オクテ「シマイモ」栽培の意義−)
(二)北の里芋
1. 体験と伝承
2. 語りからの受信−イモの力・カラの力
(三)近畿の里芋
1. 稲田と芋田の循環
2. 「マイモ」という呼称
3. ズイキの象徴性
(四)南の里芋
1. シメイモとヨカイモ
2. タームとマーム
(五)里芋の文化論・伝播論以前
二 甘薯(かんしょ)
1. 体験と伝承
2. 語りからの受信(沖縄・通年栽培と深り掘り/苗床・蔓挿し・施肥/甘藷栽培と阻害要因/食法・通年食への願望/芋地蔵)
三 馬鈴薯(ばれいしょ)
1. 馬鈴薯の記憶と方名
2. 体験と伝承
3. 語りからの受信(馬鈴薯栽培の障害/自家用馬鈴薯の食法)

第II章 雑穀
一 稗(ひえ)
(一)稗栽培と環境対応
1. 体験と伝承
2. 語りからの受信
(二)稗の加熱処理
1. 体験と伝承
2. 語りからの受信
(三)稗の食法
1. 体験と伝承
2. 語りからの受信(稗飯/粉飯・糠込み飯/稗粥・稗雑炊/掻き粉・団子)
(四)稗のシトギ
1. シトギとは何か
2. 体験と伝承
3. 語りからの受信(稗のシトギと稗のシラボシ/稗粉と柿−シトギの造形/出山・稗の収穫祝いシトギ/稗の力/シトギの発生)
(五)稗酒
二 粟(あわ)
(一)粟をめぐる営みの諸相
1. 体験と伝承
2. 語りからの受信(粟栽培の環境対応…粟と風/雨と水の禁忌/粟と雑草/沖縄における粟の冬作/粟の害虫・粟の害獣:粟の食法…飯・粥と雑炊・餅/水餅の話)
(二)小正月の粟穂・稗穂
1. 体験と伝承
2. 語りからの受信(粟の予祝とその広がり/モチ種への執着)
(三)粟と祈り
1. 口噛みのミキ
2. 粟のシトギ
3. 粟とアマゴ
4. 粟拾い唄
三 黍(きび)とモロコシ
(一)黍とは、モロコシとは
1. 体験と伝承
2. 語りからの受信(黍のボタモチ/黍の水餅/黍の力−桃太郎と黍団子−/モロコシの脱稃・精白と水浸け/穀物の色)
四 トウモロコシ
(一)四国山地−トウモロコシをめぐる営みの諸相
1. 体験と伝承
2. 語りからの受信(「ヤマキビ」と「コヤシキビ」/播種・移植・乾燥・収量概算/トウモロコシの食法/種子交換の民俗)
(二)九州山地−トウモロコシをめぐる営みの諸相
1. 体験と伝承
2. 語りからの受信(トウキビ栽培の環境/割りトウキビと丸トウキビ/トウキビの諸伝承)
(三)中部地方−トウモロコシをめぐる営みの諸相
1. 体験と伝承
2. 語りからの受信

終章 補いの綴り
1. 蕎麦
2. シコクビエ
3. イモ・雑穀の栽培環境伝承
4. 定畑の作物変遷
5. 山のムラと生業複合

著者

野本寛一(のもとかんいち)
1937年、静岡県生まれ。
國學院大學文学部卒業。
文学博士(筑波大学)。
2015年、文化功労者。
2017年、瑞宝重光章。
専門は日本民俗学。
近畿大学名誉教授。
主な著書に『焼畑民俗文化論』『栃と餅−食の民俗構造を探る』『採集民俗論』『季節の民俗誌』『麦の記憶−民俗学のまなざしから』『食の民俗事典』など多数。
著者等略歴は刊行当時のものです。