著者 | グリニス・チャントレル |
監訳者 | 澤田治美 |
ISBN | 978-4-86498-000-5 |
発売日 | 2015年12月12日 |
体裁 | A5判・1072ページ |
定価 | 本体18,000円+税 |
オンライン書店
内容
英単語の由来についての興味深い話に触れながら、語義の変遷から語形成・文法事項・成句・複合語にいたるまで、英単語の背景にある歴史・文化・思想をひもとく。
「古英語」、「中英語」、「後期中英語」、「16世紀後半」など、英単語の初出年代を示し、さらにはギリシア語・ラテン語・ゲルマン語・古フランス語・プロヴァンス語・アングロノルマンフランス語・英国中世ラテン語・スコットランド語・中オランダ語・中低地ドイツ語・スカンジナビア語・古ノルド語・インド=ヨーロッパ語にまで言及。
シェイクスピアから現代作家までの用例も収録。
難解に見える多くの単語の意味も理解でき、英語学習の質が高まる辞典。
内容例
babe/baby
[後期中英語]【名詞】赤ん坊、無邪気な人、世間知らず、うぶな人、(男女を問わず)若くて格好いい人、(呼びかけ)あなた、おまえ:
ba音を繰り返す幼児特有の話し方に由来する擬音語である。方言にbabbyの形も見られる。babeの語意と語法は大きな変化を遂げてきた。すなわち、以前は聖書(babeは「幼児」の意であった)に見られるように詩的な文語であったが、今では非公式な口語としても使われている。20世紀初頭の米国で、babeやbabyは、男性から女性への愛情と親しみを込めた呼びかけとして使われはじめる。その後、20世紀後半から現在にかけて、男女を問わず、性的な魅力を表す語として使われるようになった。:He’s a real babe「彼はどうしようもない世間知らずだ」;What a babe!「なんて子だ!」
castle
[後期古英語]【名詞】城:
アングロノルマン人フランス語および北部古フランス語castelに由来し、ラテン語castellum「小さな砦(castrumの指小辞語)」に遡る。ラテン語の複数形castraから、イギリスの城郭都市の名称に見られるChesterが使われた(チェシャー州の州都チェスターは現存する城郭都市の1つ)。こうした都市は元々ローマ人の野営地だった。ランカスターLancasterなどに見られる語末-casterはこの変異形。熟語のbuild castles in Spain「夢想にふける」(直訳は「スペインに城を建てる」)は現代の著述者たちによるフランス語風の言い回しである。フランス語の句では、地名はスペイン以外の場合もある(アジア、アルバニアなど)。このことから、この表現は基本的に縁もゆかりもない外国に城を建てることを指していることがうかがえる。build castles in the air「空中楼閣を建てる」もこれと同義。
著者
オックスフォード大学出版局英語教育(ELT)部シニアエディター。
数年間、Concise Oxford Dictionary(第9版)、New Oxford Dictioinary of English(語史担当)をはじめとする辞書の作成に携わった。
さまざまなレベルの学習者を対象に、長年、さまざまな言語を教えてきた。
マルチリンガルである。
監訳者
関西外国語大学教授。
博士(英語学)。