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衣の民俗事典

衣の民俗事典

編者 山崎祐子
編集委員 松田香代子
加藤隆志
西尾嘉美
発売日 2025年7月1日
ISBN 978-4-86498-122-4
体裁 A5判・上製・584ページ
定価 本体16,000円+税

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内容

糸を紡いで機を織る、夜なべをして繕いものをするといった手しごとが姿を消し、工場生産の既製服が出回る――衣をめぐる日本人の生活環境は、高度経済成長期を経て大きく変化した。
本書は、かつては各家庭で当たり前に行われていた衣生活に焦点を当て、人々がどのように暮らしてきたのかを浮かび上がらせる。
「衣食住」全3冊完結!

目次

Ⅰ 紡ぐ・織る・縫う
衣類の素材と調達
素材から糸づくりまで(木綿・絹・紬・麻・太布など)
機織りと布(機織機・織物・染色など)
衣類の管理
裁縫(縫い/裁縫など)
洗濯と収納(虫干しと洗い張り/長持・箪笥・行李など)
再生と使い回し(継ぎ当て/ぼろ/お下がりと繰り回しなど)

Ⅱ 着る・被る・履く
日常の服装
農作業(長着と上半衣/山袴/股引/帯/前掛/手甲・腕貫/脚絆・脛巾・ゲートル/国民服とモンペの普及など)
漁村(漁師の仕事着など)
普段着・外出着(普段着・外出着/割烹着/浴衣と寝間着/防寒着・綿入/褌と腰巻など)
人の一生と服装
安産と子育て(腹帯/産着/エナ着/宮参りの祝い着/背守り/生児の肌着とおむつなど)
子どもから大人へ(七五三/褌祝い・へこ祝い・烏帽子着/初潮祝いと月経帯など)
婚礼(花嫁/花婿/参列者の衣装など)
葬儀と法事(死装束のしたくと入棺儀礼/喪主と参列者/イロ着/葬式組の衣服/新盆と法事の衣服など)
履物
履物の分類と呼称
生業の履物(湿田で履く田下駄/浜下駄/足桶など)
日常の履物(下駄/草履と足半/草履/足袋/地下足袋など)
被り物
頭に被るもの(頭巾/帽子/鉢巻/手拭)
雨除けと日除け(笠/蓑/着茣蓙など)
身だしなみと装身具
化粧・身体加工(おはぐろなど)
身だしなみ(洗顔と歯磨き/入浴/日常の髪型と髪の手入れなど)
持ち物(袋物/風呂敷)
雪国とアイヌ
雪国(角巻/ワタコ/茣蓙帽子・蓑帽子/ケラ/雪草履と藁沓/雪踏み俵と道踏み/かんじきなど)
アイヌ
沖縄
染織と衣(衣でたどる沖縄/島々の染織と衣生活など)
琉球の衣(琉装/庶民の衣/祭礼の衣装/ノロ衣装など)

Ⅲ 読み解く
衣を捉える視点
資料にみる衣(絵画にみる衣/写真にみる衣/雑誌にみる衣/村明細帳にみる衣/禁令にみる衣など)
言葉と衣(昔話にみる衣/諺と謎にみる衣/歌にみる衣/季語の衣)
教育と衣(家庭での衣の教育/洋裁学校と和裁教室/学校での衣の教育など)
信仰・俗信と衣(民俗芸能にみる衣/祭礼と嫁入りの帯/富士講の装束/養蚕と機織りの信仰/針供養/衣生活と俗信/箪笥の中の呪物/境界の草鞋・草履など)
衣の調査研究史
衣に関する民俗学の研究史(柳田国男/宮本勢助・馨太郎/瀬川清子/女性民俗学研究会/宮本常一と衣の資料)
文化財としての衣(文化財行政と衣/田中忠三郎さしこ着物コレクション/県史編さん事業の民具調査と文化財指定・登録/『日本民俗地図』と都道府県別民俗分布地図など)

コラム
養蚕の伝来と変遷/山繭の着物/製糸を中心とした女性の稼ぎ/けふ/伊勢崎銘仙/会津木綿の仕事着/嫁のセンダク帰り/古着屋とボロ市/早乙女装束と赤/紡錘つむ/百歳の着物/嫁入りの道具/カツギの縫製と着方/刺子の足拵え/秋田県のタナと長手拭/横浜とハンカチ/包む・被る/越後高田の防寒具ワタボシ/魚沼地方の暮らし/和紙から作る紙子と紙布/手甲と甲掛けの美意識/民俗衣に現れたアイヌ文様/御絵図帳/沖縄の絣/芭蕉布と平良敏子/琉衣の仕立て/琉球舞踊の衣装/針突/巾(サージ)/沖縄の風呂敷/モンパノキの潜水メガネ/クバの利用/守貞漫稿/商家の服装の規約/貫頭衣を復元する/消えゆく衣の言葉/共同体の衣/しつけ/裁縫ひな形/模様に託された祈り/藁束を二つ折にする履物/博物館活動での機織り/機織りの記録映像/糸取りから機織りまで/布を展示するなど

付録
衣に関する基礎知識(用語解説/和服の部分名称)/衣に関する国の指定及び選定文化財一覧/参考文献/索引

編者

山崎祐子(やまざきゆうこ)
1956年、福島県生まれ。
東京女子大学卒業。
宮本記念財団理事・研究員、学習院女子大学、成蹊大学非常勤講師。

編集委員

松田香代子(まつだかよこ)
愛知大学綜合郷土研究所研究員

加藤隆志(かとうたかし)
桜美林大学非常勤講師

西尾嘉美(にしおよしみ)
元西宮市立郷土資料館学芸員

著者等略歴は刊行当時のものです。